【はじめに】
2月16日、株式会社RCF代表取締役:藤沢烈さんを講師としてお迎えし、
第二回コンパスポイントを開催しました。
を読み、それに基づいて事前に参加者から集まった起業や経営などに関する質問に対し、藤沢さん自身の体験やこれまでの起業支援の例をまじえつつ回答していただきました。
後半:[Workshop] ~ネットワーキングについて考えてみよう~
グループに分かれ、
「あなたはどんな人たちと知り合いたいですか?」 など、
人とのつながりに関する互いの考えをぶつけ合いました。
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【藤沢さんとのセッション】
藤沢さんの今まで
「ADDRESS」雑誌のはじまり
僕が学生だった1995年頃は、ネット環境も携帯もない時代。
インターン制度もない、学生が実社会で仕事をする機会も、学生が社会人と接する機会もなく、ましてや起業することなんて更にまれだった。今と比べると、「ネットワーク」がはるかに希薄な時代だったんです。
そういう中で、「学生が学生だけで閉じた世界にこもるべきではない」と感じ、何かやろうと思ったわけです。それで始めたのが、雑誌作りだった。全国の「この人に会いたい」と思う同年代のところにインタビューにいって、その内容をまとめて「ADDRESS」という雑誌を作って配った。
情報が取れない時代だったから、とても喜んでもらえた。需要は結構あって1,000部くらいまで部数が伸びました。
学生が社会と交流できる場を構築
雑誌づくりを通じて出会った人の名刺を数えたら、年間3,000枚にもなりました。
ただ、多くの人に会ううちに、直接会っているのは僕一人で、他の人は雑誌を通じて間接的につながっているだけ、というネットワークの形に疑問を持つようになった。それで、自分が出会って「面白い」と思った人達が集うバーをつくった。それが、「狐の木」というサロンでした。
しかし、経営は不調だった。収支はトントン。さらに僕が悩んだのは、集まる人の性質が変わったこと。バー開店後半年間は多様な人が集まりましたが、それ以降は、起業しているようなリーダー、先駆者タイプが来なくなり、ここに来ればすごい人に出会えるのでは?と考えるフォロワーが多くなっていったのです。「先駆者が集う場をつくり、彼らに出会いを提供することで、このサロンが社会を動かすようなムーブメントを生み出す場所にしたい」、という本来の目的から外れてしまった。
これではやる意味がない、と感じて、以後、普通のバーに業態転換し、
自らはバーの経営からは手を引いて大学に戻りました。
McKinsey & Co へ
大学に戻ってから、バーの経営について反省する中で、「経営をしっかり勉強してみたい」、と思い、マッキンゼーに行くことにした。
僕がバーで本当にやりたかったのは、同年代のアクションを起こしている人を集めて、そこでの出会いを梃子に次のアクションが起きること。自分が出会ってきた全国の同年代の力を合わせれば、日本が変わるのでは?と思っていた。自分に力をつけて、スキルを身につけて、起業するような仲間の助けになりたい、そう考えたのが、マッキンゼーを就職先に選んだ理由ですね。
【Compass Point meets 藤沢さん】
Q&A
多くの起業現場に立ち会い、ご自身も起業経験のある藤沢さんに、
「経営」、「起業」、「人脈」等に関して質問しました。
起業について
Q.「起業を成功させるコアになる能力は何か、また如何にして身につくのか?」
A. 「諦めない」こと、「事業の惚れこむ」こと。
起業家にもいろんなタイプがいます。
知的な人もいれば体育会系の人もいるし、賢い人もいればそうでない人もいるし、明るい人もいれば暗い人もいるし、経験のある人もいればない人もいる。
何が大事か、ということなんですが、成功している人の唯一の共通項は、「諦めない」ことだと思ってます。失敗している人は、諦めている。もっと言うと、頭のいい人は諦めやすい傾向にあると思います。頭のいい人でなくとも、諦めないでしつこく頑張って頑張って頑張って・・・成功する人には、そういうタイプも結構いるんです。
なぜ諦めないことが大事か?
起業家は、他の人と違うことが求められます。諦めない範囲で頑張ることは誰でもできます。でも、誰もが諦めるところ・・例えば事業が大赤字になったり、部下がみんな離れたり。それでも一人でも何でも頑張り続ける、そういう強さが、世の中に新しい価値を生み出す起業家には必要です。
「諦めない」ことはスキルか?
スキルではありません。「諦めない」ということは、「諦められない」ということ。恋愛
した時、どうしてもこの人のことが諦められないことがありますね?経営も一緒。そうした意味で、起業して成功する条件は、自分の能力ではなくて、「自分が
惚れ込んだ事業に出会えるかどうか」。だから、そういう事業に出会えるようアンテナの感度を高めることが必要だと思う。
「きっかけを大事に」
あとは、きっかけを大事にして欲しい。自分でバーをやっていたが、そのきっかけは、後ろから誰かに押されてやらざるをえない状況になったから。たとえて言えば突然崖から落とされた感じ(笑)。例えば今日の懇親会で、起業を宣言してしまうのもいいかもしれない。自分も、ある方と飲んでいて、「こんな店やろうと思っているんですが~」と言ってしまったことが発端、「じゃあやってみなよ」と。店の運用も全く知らなかったし、経営に関しても素人。起業家と聞くと強靭な人をイメージするけど、案外そうじゃなくて、不安を抱えながらもやっている。まとめると、キッカケとほれ込める感度の二つが大事かな。
経営について
Q.パブリックセクターで「経営者」という感覚を身につけるためのコツって何かありますか?
Q.理想の経営者とはどのような人間か?
Q.起業家でない人間が経営者マインドを維持し発展させるには、どういったことに注意すればよいでしょうか?
A.「経営者マインドを習得する為の唯一の方法は、経営してみること」
「経営」=「資本を使って利益を生むこと」。
この前提がそもそも崩れるパブリックセクターでは経営者的感覚は身につきにくいと思います。 経営者マインドを持つための条件はただひとつ。経営してみること。そして経営について自分なりの答え、哲学をもつこと。きまった経営哲学はないものだし、人によって全くばらばら。
だからこそ、自分でやってみて、自分なりの哲学を体で理解しておくことが大事。
僕は「経営」=「資本を使って利益を生むこと」と考えている。
これは企業の中では課長でも部長でもなく、社長だけが取り組んでいます。
例えば、組織の中と外のリソースをつかって、全く新しい価値を生み出すこと。
課長や部長は、過去につくった仕組みを維持することが仕事で、社長になった瞬間に未来のことを考えないといけない。
これが問題で、多くの人は未来の価値を生み出すことに慣れていないまま社長のポジションについてしまう。 大企業に属している限り、経営者的感覚は身につきにくい。
そして、パブリックセクターはもっと難しい。利益の感覚がなく予算という発想で行動するためです。