CompassPoint (コンパスポイント) ~若手社会人の情熱の魔法瓶~

What we do 活動内容

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信じられないくらいの蒸し暑さだった7月10日(日)、例によって休日の朝からコンパスポイントの集いが開催されました。今回は「船橋力社長とともに自分自身の5年後について考え・語ろう、の会」ということで、株式会社ウィル・シードの船橋力社長をゲストスピーカーに迎え、40人ほどの仲間が集まって語り合いました。いつも以上に、なんとも盛大な会になりました。当日の様子、お伝えします!


~ 第1部 ゲストスピーチ ~

▼船橋力さんについて

伊藤忠商事にて、1年間のジャカルタ駐在(ジャカルタで初めての地下鉄を通すプロジェクト等に従事)も含めて6年間勤めた後に、株式会社ウィル・シードを設立。現在は社員40名強で設立12年目を迎える。小さい頃から海外経験が豊富で、3-7歳までアルゼンチンのブエノスアイレスに過ごし、高年間はブラジルに住まれていた。そのbackgroundもあって、現在は国際的な活動もしており、ダボス会議(年に一回世界中のリーダーが集まって世界のことを話し合う会議)で、Young Global Leader(通称:YGL)に選ばれて活躍もされている。ちなみに2人の御嬢さんのお父さんでもある。

船橋さんの詳しいプロフィール



▼小さい頃の原体験

ウィル・シードとは、企業の人材育成/企業変革や、子ども・学校教育のためのプログラム提供(600校くらいの実績)、企業のグローバル人材採用・育成支援等を行っている会社。船橋さんの海外経験と親からの教育という二つの原体験が、起業という道を選んだことに繋がっている。

船橋さんのご一家はクリスチャンであり、船橋さんはそれが嫌であった。「自立しなさい」「色々な世界を見なさい」が親からの教えで、「自立」するため、高校受験から、受験するときは土下座しないとできない、10円安い牛乳を1時間歩いて買いに行かされる、私立大学行ったら差分は自分のバイト代で払う、等厳しく育てられた。

また、「世界の色々なところを見る」ためにブラジルにいる時も、スラム街でのボランティアなど、色んな経験をさせてくれた。そんな中、海外で受けた自分の学校教育が、日本のものと違う(幼稚園でも、子供が自分でバザーを企画して行う等、体験して興味をつけてから学ぶ、という経験をたくさん行った)ことから、「体験が大事」「教育を変えたい」という気持ちを強く持つようになった。

▼学生時代の「体育会での経験」と「大きな失恋」

大学では体育会に所属し、副主将だったけど怪我をしてしまい、自己管理がなっていないと邪見にされたこともあった。更に悪いことに所属していたにチームの雰囲気も悪くなってしまったが、それを改善するための力も大学生の時の船橋さんは持ち合わせておらず、衝突した同じ幹部メンバーを論破することも出来ず、一つの挫折を味わった。

更に同じ時期に、当時の彼女に「自分の軸がない」という理由で魅力がないからと振られた。その二つの挫折経験から、自分の軸を持とうと、大学生の卒業旅行にて欧州、アフリカ、東南アジアなどのべ10カ国を旅行して世界を見ることで自分の知見を深め、軸を確認しに行った。フィリピンのスラム街でホームステイしたり、逆に大金持ちの人などと接してみたり。日本の方が物質的に豊かだけど、途上国の方が、心が豊かのように感じた。色んな人と話し、自分を深め、「お金だけが幸せじゃない」「南北問題」といったことを改めて考え、そのことが過去の自分の経験が繋がって、社会問題に興味を持つようになった。



▼伊藤忠での経験と、貿易ゲームとの出会い

社会人になり、伊藤忠時代に、LPCという異業種交流会を実施した。大学時代に世界を旅行する中で気づいたことを、周りに伝えてもなかなか伝わらず、やはり人は「体験」がないと、気づかないものなのだと痛感していた。

そんな中、「貿易ゲーム(現:SEEDという研修に改定。その原型)」と出会い、楽しくて疑似体験も出来るこのゲームを日本で広めたいと思い、交流会でこのゲームを実施していた。メールもない当時は集客に苦労したが、きっかけとしてクラブでイベントを企画し、その参加者の中から勉強会の参加者、またもう少し深く一緒にボランティア活動をする参加者を増やすといった工夫をしていた。そのようにして、真面目に勉強する人と、イベント好きな人と交流させていくことに成功した。

LPCの当時のウェブサイト

▼伊藤忠との別れと起業

3000人のネットワークを交流会から築いたものの、大人への教育ではなく、子どもの学校教育から実施すべきなのでは、と思い、当時ベネッセにいた友達と起業をした。やりたいことが見つかったということもあるが、正直に言うと伊藤忠の仕事への不満足感から転職や起業を考えた面もあったと思う。仕事のゴールが純粋に途上国支援がしたいという考えの自身と純粋な営利最優先の組織的な目的意識の違いの点だと当時は感じた。居心地が悪かったところもあった。やはり教育をやりたいという気持ちで起業した。

とはいえ最初から起業するつもりではなく、事業アイディアを形にしてくれる企業がないかと営業兼転職活動をした。教育に大事なのは"教育思想=理念"と"楽しさ"だと信じる中、"楽しさ"を強烈なブランドに持つと世界的な大手電機メーカー等に売り込みに行っていたが、断られる日々であった。でもある人との出会いから、「自分でやる=起業」ということを考え始めた。最終的に伊藤忠でのNY転勤か、起業との選択になったが、幸いにして貯金もあったし、結婚もまだであったので、今しかないと、29歳のときに起業。

▼ウィル・シードの立ち上げから軌道に乗るまで

教育は「理念」「楽しさ」「共感」。その思いを胸に最初は四ツ谷にある10畳一間から始めた。最初はなかなかうまくいかず、「株式会社で教育は無理」「ゲームで教育はできない」「子供の教育では無理」と否定され続け、そしてとうとう倒産もしかけてしまった。

そんな中、ボランティアで子どもに教育プログラムをしているときに、気づいたことは「子どもは大人の背中を見ている」こと。大人が元気にならないと、子どもが元気にならないことに気付いた。そこで、企業向けに営業も始めることに決めた。

そしてソニーと出会い、ソニーの人事担当者にSEEDを体験してもらったことが、翌年の新人研修の受注につながり、そこから事業がうまく回り始めた。二年目は100社に広がりと、どんどんと事業が拡大していった。

それが記事になり、それを見た経産省の人から「それだけ企業で上手くいっているんだから、子どもに向けた教育プログラムもやりましょう」と声をかけられた。面白いもので、そんな経緯で最初にやりたかった学校教育事業をスタートさせることができた。



▼これからのビジョン

昔は日本が世界からすごく注目されていて、みんなこっちを向いてくれていたが、今は誰も興味を持ってくれていない。YGL関連で参加したハーバードのケネディスクールのリーダー合宿でも、日本の話題は出ない。そのギャップがショックであった。今の経済市場はほとんど南半球で起こっている。「日本はアジアの病原だ」とさえも言われている。日本はガラパゴス化していて、日本では海外のニュースも流れない。まさに「情報鎖国」という自覚を持つべき。

そういった問題意識を持ちながらも、日本は日本のやり方で世界に貢献できることもあると考えている。日本の「調和」を重んじる心など、大事なものはあるので、そのような日本の大事なものをきちんと世界に輸出しないとまずい、という気持ちでこれからのウィル・シードの事業やその他の活動を作り始めている。

夢はグローバル人材を育てるJリーグのような制度を作ること。小さい頃からサッカーを練習する子どもが増えれば、日本のサッカーチームが強くなるように、日本でも小中学校のときからも海外にいくような仕組みを作ることで、日本人のもともとあるポテンシャルを引き出し、日本のグローバルでの競争力もあがると、そうなるように新しい事業を作っている。

そういう背景もあり、今は、日本人をグローバルに通用する人材に育てていくことに尽力している。例えば、他のヤング・グローバル・リーダーズの仲間たちとともに、東日本大震災の被災児童に対してリーダーシップ教育を行う「BEYOND Tomorrow」や、グローバル人材育成のためのFundである「GiFT」などを推進している。

「教育支援グローバル基金 BEYOND Tomorrow」
「世界に通用する人材育成プランGiFT」



Q&A

Q:中学生くらいのときに"国際化"が流行ってきた。まだ進んでいないのは何が足りないからだと考えるか?

A:誰も本気になっていないから。「globe」で考えないと、なんともならないということの危機意識を持っていない。なぜ日本の企業は日本人だけでしかチームを作ろうとしないのか。去年の今頃は本当に見向きもされなかったが、今年の頭、そして3.11以降、いっきに「やらなくちゃまずい」に変わってきた。海外進出する企業数も増えている。

Q:株式会社として経営することと自分のミッションとのジレンマはないのか?

A:利益追求しないといけない部分もあるが、工夫は出来る。社内NPO、のような形で「タダで売るコンテンツ」と「売れるコンテンツ」を分ける、等。商品1つとっても、分け方等の工夫は出来る。ウィル・シードを辞めて、自分で5つくらいプロジェクト立ち上げた方が世の中にインパクト与えられるな、とジレンマを感じることもあるが、ウィルシードがあるからこそできることもあると思っている。

Q:日本の大学の学ぶ意欲の少なさがこれから日本に影響を与えるのではないか?

A:大学では、どういう問題意識を持つことが大事。海外では、終身雇用も新卒採用もない。新卒から中途と戦っていかないといけないと思うと、大学の過ごし方が変わる。経団連に提案しているのが、1年目に内々定させて、その後の過ごし方、成果によって4年目に本内定もらうために何をするか、等のことをしてもいいんじゃないか、とも考えている。その方が、学生は、目的意識を持ち努力するのではないかと思うから。仕組みとして変えていくための提案もしている。

Q:情報の鮮度を保つために心がけていることは?

A:情報収集では、大きく3つのことを心がけている。
・自分でとりにいく:iPhone買って海外のニュース見る
・取るならばいっきに取る:今回、先進国と新興国を含め12か国をいっきに周って、マクロ的な関係を見てきた。そうすると自分で予測できるようになる。
・人の話を信じる:自分で見ないと信じない、もあるが、3人くらい同じことを言っているなら信じてみる。だいたい言ってることが当たる人(感度がいい人、とかちょっと先を行っている人、を選ぶ)のことは信じる、等人を選んで、信じて情報の鮮度をあげる工夫をしている


~ 第2部 ワークショップ ~



ゲストスピーチに続いて、「5年後の自分の姿」について語るワークショップを実施。4人1組に分かれて、順番に自分将来の姿について語りました。

ただし、単純に語り合うだけではないです。

1人6分間与えられ、この時間内で自分の将来像について話します。そして、その間は、他の3人はとにかく聞き手に徹します。コメント、質問があっても発言NG。この6分は、スピーカーに与えられた6分なのです。スピーカーは、自分の過去、現在、未来、自分の原体験、思い、夢、プライベート、結婚、子ども等々・・・色んなテーマで話していました。そして、スピーカーが6分間話した後は、それを聞いていた3人がコメントし、フィードバックします。この4分間の間は、今度は逆にスピーカーだった人が喋っては駄目です。とにかく、3人のフィードバックを聞くのに徹します。

スピーカーからは、「6分は、意外と長い」という声も多かったです。時間が余ると、自分が今まで考えてなかったことを気づいたら声にしてみたり、、、、色んな気付きがあったようです。あとは、自分の考えや想いを改めて声に言葉にしてみると、意外な気付きがあったとのコメントもありました。普段、なかなか自分の5年後の姿について、真面目に話す機会ってないですもんね。

そして、フィードバックもとても有意義だったようです。自分の言葉がどう伝わるのか、あるいは伝わらないのか。異なる視点、考えに触れるいい機会だったようです。

参加者の多くから、「素敵な企画だった!!」とのコメントをいただきました。
運営側としても、とっても気づきの多いワークショップでした。



ゲストとしていらっしゃって下さった船橋さん、参加してくれたみんな、本当にどうもありがとうございました!!また会いましょう!!

追記;
最後に、船橋さんから後日届いたメッセージを添付します。

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先日はとても問題意識の高いメンバー、そしてオープンな方が多い場で個人的に非常に楽しませて頂き誠にありがとうございました。時間的な制約で全員の方とはお話し出来ませんでしたが、これも縁だと思いますのでまたの機会にお会い出来ることが出来たらと思います。

皆さんの世代が間違いなく日本の10年後をつくります。是非周囲を巻き込んで是非一緒に自分と周りの人の未来を創ることをしていきましょう。 応援しています。そして私も頑張ります。

最後になりますが、twitterをやっていらっしゃる方は是非フォローをお願いします。
(情報源としてお勧めです!)

それでは、また!

ウィル・シード 船橋 力 ( 船橋さんのTwitterアカウント: c_funabashi )