CompassPoint (コンパスポイント) ~若手社会人の情熱の魔法瓶~

What we do 活動内容

CP6

ども、こんばんわ、シンタです。
遅くなってしまいごめんなさい、7月26日に、NPO法人カタリバ代表の今村久美さん(久美さん)と、NPO法人創造支援工房フェイス副理事の小田部巧さん(たくさん)(お二人は実は大学の同級生!!)を招いて第6回コンパスポイントを開催しました!!

まずは、久美さん、たくさんそれぞれの、パーソナルストーリーを語っていただきました!

☆NPO法人カタリバ 代表 今村久美さんのStory☆

【「田舎」から慶応SFC、刺激的な毎日へ】
私は岐阜の飛騨高山、いわゆる「田舎」で育ちました。卒業した高校も進学校ではなく、東京の大学に進学する生徒もあまり多くありませんでした。
そんな私がAO入試で慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)に入学、上京することになります。今思えば、これが全ての始まりだったような気がします。

SFCのキャンパスで、幅広い価値観や視点を持ち、自由に物事を考え、自由に行動をすることができる人たちと数多く出会いました。こうした出会いは、これまで私が経験してきていなかったことでした。たくちゃん(講師の小田部巧さん)と出会ったのもこの頃のことです。
このような人たちと出会い、刺激を受けることで、私の価値観や視点も少しずつ広く、物事を自分の頭で考えることができるようになってきました。仲間との語らいを通して、自分自身の成長を日々実感しながらの大学生活は本当に面白かったです。

【大学は退屈でつまらない!?「気づき」を与える環境...カタリバへ】
そんな大学生活の中、成人式で高山に帰省した際、高校時代の友人と再会して衝撃を受けました。彼らの価値観・視点は高校生の頃のままで、大学に通っている友人も、大学生活を退屈でつまらないものだ、と言い、無為に日々を過ごしているのです。

でも、そんな友人と、高校までは私も全く同じでした。
成人式で、昔と変わらないままの友人に出会って「衝撃」だと感じたのは、私が偶然SFCに入学でき、多くの「気づき」を与えてくれる友人に出会うことができて、少しずつ変わっていくことができたから。もしSFCに入っていなかったら、「気づき」を与えてくれる環境に身を置くことができなかったら。
実際はSFCのような環境はあまり多くなくて、限られた人しかアクセスできない。それ以外の多くの人には、「気づき」を与える環境に出会う機会がないのではないか、気づいたのです。
だったら、そういう多くの人たちに、「気づき」を与える環境を、私が作り出すことはできないだろうか...そんな思いが、カタリバのきっかけとなりました。

【大学生も高校生も、1人の100歩より100人の一歩を。】
カタリバの活動の中で、私のこの思いが最も表れているのが、東京、埼玉、神奈川、千葉などの高校で、大学生が高校生に対して自分の経験や日々感じていることを話し、そのやりとりの中で高校生が新しい考え方や価値観に触れ、「気づき」を感じてもらう、という活動です。
この活動の鍵となっているのは3,500人の大学生ボランティア。彼らはプロジェクトベースで、例えば横浜市の高校で活動する場合はその近辺の、足立区の高校で活動する場合はその近辺に住んでいる大学生ボランティアが行う、といった体制で動いています。
もちろん遠方から駆けつけてくれるボランティアもいます。

活動をする高校はできるだけ、進学校やエリート高校ではなく、「普通の」高校で、と心がけています。というのも、一部の限られたエリートのではなく、多くの人たちの初めの一歩となる「気づき」の場を作りたいからです。
大学生ボランティアもエリート大学の学生だけではなく、多様なバックグラウンドや専門をもった学生にやってもらっています。この活動は、高校生のためにやっているように見えるかもしれませんが、話す側の大学生にとっても非常にプラスになるものです。多くの高校生の前で自分の気持ちや考えを話す、表現する。その過程にも、多くの「気づき」があるからです。

【まだ課題もあります。】
この活動は、私のやりたいことが一つの形として結実したものであるとは思っているのですが、まだ課題もあります。
ひとつは、収益性です。多くの学生ボランティアに協力してもらって行う活動ですが、多くのマンパワーを動員する一方で、あまり収益性は大きくありません。本当は都心部だけではなく地方の高校とかでも活動をどんどん行っていきたいと思っているのですが、これ以上範囲を広げていくことが難しい状態です。
二つ目は、教育プログラムの観点からの課題です。「気づき」を与える場を提供するといっても、あくまで一日だけであって、高校生にとっては「非日常」のひと時にすぎません。継続的に同じ高校生に対して関わっていくことができない以上、教育プログラムにはなり得ないのかな、という気もしています。このあたりも、具体的な解決策はまだ模索中です。

【理想は、カタリバが自然発生する社会】
先ほどの話と重なりますが、日本のあらゆるところでお互いがお互いに「気づき」を与えあえるような場が生まれ続けることが私の夢です。カタリバのような場が、自然発生的に生まれてくるような社会が理想だと思っています。

☆NPO法人創造支援工房フェイス 副理事 小田部巧さんのStory☆

【フェイスの活動は、「創発環境を生み出す」ということ】
僕は久美ちゃんの大学(慶応SFC)の同期で、大学院ではメディアを専攻してデジタルデザインの研究をしていました。現在は、博報堂で働きながら、8年前、学生時代に立ち上げたNPO法人創造支援工房フェイスの副理事も務めています。
フェイスの活動は、一言で言えば「創発環境を生み出す」ということ。創発環境というのは、一つ一つの因子が集まり互いに作用しあうことによって、大きなうねりを生み出す空間のことです。実社会でも、全くの偶然の、思いもよらない人との出会いが、考え方や価値観に大きな影響を与えることってありますよね。そういう環境を自分たちで生み出したい、フェイスはまさにそういう活動をしている団体です。

【ボランティア活動のエネルギーってすげぇな】
フェイスを立ち上げようと思ったのは、阪神淡路大震災でボランティアに参加したときでした。当時はまだボランティアという言葉も、今のように社会的に認知されていたわけではなかったけど、実際にボランティア活動をしてみて、この活動の持つエネルギーってすげぇな、と思ったんですよ。災害という問題が発生したときに、いろいろなところから人が集まってきて、みんなの力や知恵を結集してその問題を解決してしまう。その光景を目の当たりにして、ボランティアの人たちのエネルギーとネットワークの広がりが持つ力の大きさに圧倒されました。世の中にはお金以外の価値があるってことを確信できたのもこの経験からです。

フェイスは、こうした人のつながりがもたらすダイナミズムを、より最大化するにはどうしたらいいのか、ということを考えたいという気持ちの延長から生まれました。

【創発環境に重要なファクター】
僕は創発の発生には、
「media」「education」「tool」の三つのファクターが重要なのではないかと思っています。
まず、mediaが何らかの気づきを与える。そして、その気付きをアウトプットという形に深化させるために学習(education)する。そこで、ブラッシュアップされた気付きはビジョンとして昇華されます。さらに、そのレベルまで昇華された気付きは、実際の物事を解決したり判断したりするうえでの道具(tool)となります。そうなると、それがまた他の誰かに何らかの気づきを与え、mediaとしての機能を果たす。こんな感じのハイパーサイクルが、いろんな人の中で起こり、それぞれに連鎖反応を与えていけるような、そういう場を生み出したいんですよね。

【「ナナメの関係」が理想】
フェイスは、僕のそんな思いをメディア創造と教育、という観点から実践するための場として設立しました。具体的な活動としては、以下のようなものがあります。
「センジン」プロジェクト
文部科学省からの委託事業。教育に関して先駆的な活動をしている団体を取材し、その活動をWEB上で発信していくもの。「先人」たちの偉大な取り組みを「先陣」を切るような斬新な表現方法で発信していく、という思いが込められている。
OMNIフェイス
フェイスの過去のメンバー(卒業生)と現在のメンバー(大学生)をつなぐブログ。フェイスの卒業生たちは、学生時代に何らかの志を持って活動を行い、その志からそれぞれが描いた延長線上で、今も軸を持って主体的に生きている人が多い。そういう卒業生たちが、現在のメンバーたちに気づきのきっかけを与える。僕は、学ぶ上では「ナナメの関係」が理想だと思っています。高校生と大学生、大学生と社会人、みたいなね。OMNIフェイスも「ナナメの関係」を作り出すために行っています。
メディアプロデューサースクールimage
30人程度の生徒(大学生)を対象に3~6か月でメディアプロデューサー育成プログラムを提供。「自ら学ぶ力」と、それを「世の中に対してoutputできる力」を育てることに重点を置いている。

【人の意思(Will)は代替不可能なんです。】
なぜ「自ら学ぶ力」を育てようとするかというと、技術や能力(Skill)は代替可能だけど、人に依存するパーソナリティ、そしてそこから生まれる意思(Will)は代替不可能だからです。まずはWillありき、その上で必要があると考えるSkillを身につける、というのがいい。時には自己中に思われても、自分のWillを追及していくことが大切だと思います。

【務め→稼ぎ、ではなく、務め×稼ぎで。】
社会人なってもWill ・志を持ち続けるために。
務めとは自分の志を実現するために仕事をすること、稼ぎとは生活するために仕事をすることです。いつの間にか、務めから稼ぎへと(務め→稼ぎ)変わっていってしまう人が多いように思います。
僕の働いている会社でも、入社した頃は思考が柔軟で面白い人は同期でもたくさんいたのですが、3年くらい経つと、「ゴルフ」「マンション」「車」といった話しかしなくなって、色褪せて見えてしまうことがある。どこかで目的と手段が入れ替わっちゃっているのではないかなと思います。
大切なのは、務め→稼ぎと、二つを入れ替えてしまうのではなくて、どっちもありでいいじゃん(務め×稼ぎ)ってことです。

うーん、お二人とも、限られた時間の中で、とっても深いお話をしてくださいました!
つづいて、コンパスポイトのメンバーから久美さん、たくさんに対してQ&Aセッションを行いました!

☆コンパスポイント×久美さん×たくさん 質疑セッション☆

Q.お二人(カタリバ、フェイス)の中長期的な展望を教えて下さい。
(久美)三つあります。一つ目は、日本のあらゆる場所でお互いがお互いに「気づき」を与えあえるような、そういう場が生まれまくるようにすること。二つ目は、何らかの形で政治に対して影響を与えられるような活動ができればと思っています。なので、アドボカシー活動にも関心があります。三つ目は、カタリバを地域展開していくこと。私の地元の飛騨高山でも活動ができればなと思っています。
(たく)僕は、先ほど話した「務め×稼ぎ」、の企業全体のレベルでの実現に関わりたいと思っています。例えばCSRって企業全体から見れば、免税符としての位置づけが主流だけど、それも「務め×稼ぎ」になるような、そういう新しい価値を作り出したいですね。

Q.お二人の活動のモチベーションを教えて下さい。
(久美)やっぱり「責任」です。苦しくなった時こそ、私を信じて、私の描いたものに一緒に巻き込まれてくれた同僚やスタッフのために頑張りたい、と心の底から思います。その気持ちは励みになりますね。
(たくさん)純粋に多くの創発環境を作り出すこと自体が面白い。そして僕が尊敬している、師匠と呼べるような人達に、今の活動をしていくことで近づいているイメージがあることです。

☆三分間スピーチ☆

続きまして、もうすっかりおなじみとなった三分間スピーチです!
今回は、CP二回目の参加となるヨシと、カタールでの長期滞在からカムバックしてきたショウヘイが思いを語ってくれました!!

ヨシの話は、「応援したい人」について。
ヨシの彼女は日本に住んでいる中国人で、引越しの物件を一緒に探していた時に、外国人であるということで、自分の望む物件を借りることができない、そういう場面を何度も目の当たりにしたそうです。
「日本は豊かで、住みやすい国だと思っていたけど、実はこの日本にも、ハッピーに暮せていない人がたくさんいるんじゃないか?」
そんなことに気づかされたとのこと。
そんな中、ヨシはある不動産屋で、韓国人の店員さんに出会います。彼女も日本に来た頃、物件を探すのに苦労した経験があって、だから自分が同じような苦労をしている日本在住の外国人のために力になりたい、という思いを持って今の仕事をしている、とのこと。営業をしやすいように日本語の名前を持ち、日本語を自在に操って頑張っているその人の姿を見て、「応援したいな」って思ったとのことです!

ヨシの話を聞いていて、みんなにとって幸せな社会、ってどんなものなんだろう、って考えさせられました。日本って国で、多かれ少なかれ幸せを感じて生きている自分がいて、れど同じ環境で、そうやって苦しい思いをしている人がいる。そういう事実に、幸せを享受してる立場にいるとなかなか気付かないんだよなぁ。
また、その店員さんのように、苦しい状況に置かれても、そこに絶対に負けないで立ち向かっていく人に出会うと、本当に大きな力をもらえますよね。できれば、そういう強さを持った人がたくさん生まれるような社会作りに自分も貢献できたらいいな、とか個人的には思いました!

続いて、ショウヘイ。

ショウヘイは仕事の関係で2ヶ月ほどカタールに滞在していて、今は日本に一時帰国しているところです。
カタールではおなかを壊して苦しみ、日本に帰ってきて携帯を紛失し、そんな波乱万丈を経てコンパスポイントにカムバックしてくれました!
そんなショウヘイの話も、外国人に関係した話。
カタールって国は、外国人にとってはとても住みにくいみたいです。そういう環境に身を置いて日本に帰ってくると、自分自身が居心地のよさを感じる一方で、やっぱり、そういう日本も、外国人にとっては住みやすい場所なんかなーということを考えてしまう、とのこと。そういう目で見てみると、やっぱり、日本で出会う外国人も、いい顔してる人が少ないんじゃないかな、と思ってしまうそうです。できれば、そういう人たちにとって力になれるような活動をしたい、もし関心がある人いたら一緒にやりましょう!ってことでした!

ショウヘイの話は、聞き手を強烈に引き込む感じがします。自分の気持ちがストレートに伝わってくるからかな。こいつ、今どんなこと考えてるのかなー、聞いてみたいなーって人に思わせる、そんな感じなんです!ということで、またしばらくしたら三分間スピーチ頼むのでよろしく頼むわ!

☆ワークショップ☆
続いて、ワークショップを行いました!
ワークショップでは、「明日からできるアクションを考えよう!」ということで、「自分がやりたいこと」と「今の仕事で活かせること」について、二人一組で話し合いをしました!
ワークショップの終盤には、お互いに「約束カード」にそれぞれが「明日からできるアクション」を書き込んで、お互いに宣言しました!

☆懇親会☆
ワークショップの後は、会場を変えて、広尾のシャレオツなお店でランチ懇親会です!ワークショップで語りきれなかった思いについて、久美さん、たくさんにもご参加いただいてわいわい語り合いました!!

☆総括☆

今回は、初めて女性の方を講師に招いたり、たくさんと久美さんという二人の方を同時に講師にお招きしたりと、コンパスポイントにとっても新しい試みが多かったですが、そんなことよりも何よりも、お二人の筋の通った考え方や、自分の気持ちに正直に突き進んでいる姿勢といったものにとっても感銘を受けました!

参加者一人一人にとってもこの会が、次の日から、ちょっとでも自分が変わるきっかけになったのであれば嬉しいです!