3月22日に、NPO法人CRファクトリーの呉哲煥さんをお迎えし、
第3回 コンパスポイントを開催しました!
【呉さんからのお話】
1.NPO法人CRファクトリーについて
■ 日本社会に「愛着あるコミュニティ」という社会インフラを創りたい。
僕が代表を務めている、NPO法人CRファクトリー(http://www.crfactory.com/)のビジョンは、
「全ての人が愛着を感じる場を持てる世の中にすること」です。
もう少し、詳しく言うと、「家族意識」、「仲間意識」、「人と人との繋がり」が希薄化する現代において、全ての人が愛着を感じる場を持てる世の中にすることで、社会の諸問題に対する根本的な解決策を提示することです。僕は、日本社会に「愛着あるコミュニティ」という社会インフラを作りたい、と思っているんです。
■ CRファクトリーが運営する「愛着あるコミュニティ」の事例
事例①DCT勉強会
ビジネスのさまざまなことについて学び合い相互研鑽し、
そして人と人との大切なつながりをつくっていく場
HP:http://www.crfactory.com/dct/
事例②日韓交流会
日本人と韓国人の草の根交流の場。
あらゆる年代の人たちが「文化交流」をキーワードに集まる場。
HP:http://www.jkdoor.jp/
事例③Baseballkids
野球観戦を楽しむことを通じて出会いや仲間を作る、楽しむ場。
HP:http://www2.odn.ne.jp/kanjiya/baseballkids.htm
事例④My素tyle
すべての女性が自分らしいスタイルを持てる社会を目指し、
主に30歳前後の女性を対象にした交流の場。
HP:http://mysta.seesaa.net/
事例⑤ゴアシス
就職活動をする学生が、働くことや将来について考えながら仲間と共に切磋琢磨する場。
■ CRファクトリーの事業内容
CRファクトリーの事業内容は大きく2つあります。
一つ目は、①~⑤のような愛着あるコミュニティ組織を自ら運営していくこと、二つ目は、その運営を通じて涵養したノウハウ・経験を活かして、他のコミュニティの活性化を支援、コンサルティングしていくことです。こちらの活動の例としては、コミュニティのリーダー達を集めた勉強会であるCommunity Leader's Forum等があります。つい最近のことですが、コミュニティのリーダーを教育するプログラム商品を開発しました。現在は、商品のフィージビリティー検証の段階ですが、その期間が終わったら、この商品を軸にして、コミュニティ支援の活動も新たな段階に乗り出していこうと思っています。
2.学生時代、若手社会人の時のときに考えていた、やっていたこと
■ きっかけは、育った環境と学生時代のサークル活動
きっかけ①:社会派の父親と熱い母親
僕の父親は社会派の映像制作を仕事にしていました。母親も社会問題に常日頃から高い問題意識を持っていた人で、あらゆる社会問題について父親と母親と家族で話し合う環境の下で育ちました。例えば、お茶の間で家族でNHKスペシャルを見て、その後でそれについて議論する、みたいな。熱い家族でしょ(笑)そういった環境で育ったから、子供の頃から「どうしたらもっと世の中はよくなるんだろう」とか「人が幸せに生きるための社会というのはどういうものなんだろう」とか、そういう事に関する関心が養われました。
きっかけ②:学生時代ボランティア・サークル AMIS
大学の学部は、法学部とか、経済学部とか、商学部とか、軸となる専門分野を元に世の中の動きを捉える学部ではなく、社会全体における問題を多様な視点から研究することが出来る社会学部を選びました。そんな中、障害者のサポートをするボランティア・サークル AMISと出会い、そこに入部することになります。このサークルとの出会いが、僕にとっての大きな転機でした。
それぞれに障害を抱えながら真剣に毎日と向き合っている人たちが集まり、お互いに支えあいながら生きている、そういうコミュニティが、そこにあったんです。同じ悩みを抱えている仲間をつなぐ場は、」こんなにも温かく、人の心を充実させ満たしてくれる力を持っているんだな、とその時に感じましたね。
そして、現代の日本には、こういう場が足りないのではないかという問題意識も、そのときに持ち始めました。
■ 就職から独立まで
そんな中、大学を卒業し、ミュージカル公演や予備校経営、レストラン経営など幅広い活動をしている会社に就職します。
僕がその会社に入った最大の理由は、「何かを通して人が集まる場、空間を提供する」ことを仕事に出来るから、ということでした。最初はイメージ通りの仕事ができていたんだけど、3年目にマネージャーに昇進した後、徐々に自分と企業の考え方にギャップがあることを感じ始め、その思いは日増しに強くなっていきました。
これをきっかけに当時の会社を辞め、独立することを決意しました。「踏み出した」、「勇気を出した」という感覚は不思議となくて、何かに導かれている感じでしたね。
■ 26歳、4月1日、独立、起業。
人には色んなタイプがいると思うけど、僕は、とりあえずやってみるタイプなんです。
いわば、海に出たかったら、海パンいっちょで海に飛び込んでみるタイプ。飛び込んで泳いで、溺れそうになりながら何とか近くの小島までたどり着いて、そこでいかだを作ってまた海に出て・・・みたいな。海に出たかったら、まずは航路をチェックして、船出をするための計画を立てて・・・というタイプの人間では、ないんですね。
独立がまさにそうでした。
資金は、働いて貯めた、200万円だけ。
半年間は実家へ転がり込み、失業保険とバイト給料を充てに活動を始めたんだけど、人脈、事業計画も一切なしでのスタートでした。
あったのは、「みんなが愛着を感じる場を創ることが社会問題を解決する」という熱い思いだけ。まさに、海パンいっちょで海に飛び込んじゃった、って感じでしたね。現実はなかなか厳しくて、実際、何度か溺れそうになりましたよ笑
お金もどんどんなくなるし、わらをもすがる思いで応募したバイトの面接に落ちたりね。だけど気持ちだけは切らさないで、頑張りました。
■ 講師業との出会い→現在
そんな中、ヒョンなきっかけで、友人が研修講師派遣会社の経営者と出会ったんです。その友人経由で、その経営者と知り合いになり、彼女から研修講師業のオファーをもらい、研修講師の仕事をスタートさせました。
今では、民間企業、省庁、学校研修の講師や、就職活動キャリア支援など、様々な分野の研修講師をやっています。。
僕は今、「NPO活動」と「研修講師業」の二足の草鞋で頑張っている人間なんですね。
3.呉さんのターニングポイントと、参加者へのメッセージ
■ターニングポイント ~母親との会話から生まれた強い思い~
さっきも話しましたが、起業当時は本当に苦しい生活でした。年収が150-200万円とかでしたから。色々とうまくいかないことも多くて、精神的にもギリギリのところで毎日悪戦苦闘していました。そんなある時、実家に帰り、母親と会話していたら、母親から、「私はいい母親だった?」と尋ねられたんです。僕の母親は働く母、社会派の母でした。忙しくしていて、なかなか子供との時間をとってあげることができなかったし、子どもの世話をかいがいしくするようなタイプでもなかった。だから母親自身は、自分が母親で息子が幸せか、そんなことを聞いてきたんですね。僕は言いました、「お母さんは僕を信頼してくれた、僕が信じる僕の好きなことを自由にやらせてくれた。だからこそ自分が自由にできた。今は苦しいけど、それは自分が信じることをやっているからこそで、そのことには本当に感謝してる。僕は、お母さんの子供で、よかったです。」一方で、当時の僕は、不安定な生活で母親を安心させてあげることも出来ていなくて、親孝行できていないのではいかという後ろめたさも感じていることも伝えました。「家も買ってあげられないし、お金もあげられないし、仕事もこんなだし、結婚してないし、孫も見せてあげられていないし・・・。でも自分が生きていることにYesだけは言えるよ」そのとき、母親が、「ほかには何もいらない、てつが一番」って言ってくれたんですね。この言葉を聞いて、僕はすごく衝撃を受けたんですよ。今までは、「親に認められたい」という思いが強かった。僕は、小さい頃から、親に認めてもらうために、勉強頑張ったり、少年野球チームのキャプテンをしてきたり、学級委員やったり。でも、この言葉を聞いて、「今までいったい自分はなにをやってたんだろう?」って思った。それは私の根底には「親に認められるために」というのが強くあったからです。そのために「これで認めてくれるでしょ?」とたくさんのパフォーマンスを出してきた。でも、親はどんな自分でも認めてくれるんだということにようやく真に気づけた気がしました。何もしなくてもどんなことをしていても関係なく認めてもらえる自分。無理して背伸びしなくても、「このままでいいんだな」「この自分でも愛されているんだな」ということに、気づいたんです。と同時に、「何もしなくていい自分が、本当にやりたいことは何なのか」を強く意識するきっかけとなった。それはまさに、「愛着を感じる場を創ること」だった。だからこそ、どんなに困難でもやろうと決意した。当時の僕は28歳。自分のマインドが大きくシフトした瞬間でした。
■ 参加者へのメッセージ
僕も20代は悩むことが多かったです。
その時代を駆け抜けた今、大切だと思うことは、
「やると決めること」
「自分の中でコミットすること」
可能性があるかないかではなく、「社会をこうしたい」と思ったときに、それに対してコミットできるかどうか。
自分は社会に対して何をしたいのか。
社会にどのようなinfluenceを与えたいのか。
それに対して、「やる」と決める、腹をくくること。これが一番重要だと思います。
最後に、時代を超えて成果を出す人たちに共通する要素だと僕が考えることについて、お話しようと思います。
○個人的な強い思い入れを持つ
誰が何を言おうと、やり抜く魂を持つこと。
成功というものは、自分が大切にしているものへの個人的な思い入れがなければ達成できない。
○愛情だけが道を切り拓く
自分がやっていることに愛情を感じること。
みんなもその思いを持ってやって欲しい。
4.コンパスポイントMeets 呉哲煥
Q.コミュニティーを創る上で、同じ志の人たちをどう集めましたか、集める上で何をしましたか?
A.僕が今やっているCRファクトリーを共同してやっている人たちの多くは、DCT交流勉強会のメンバー達です。彼らの中で、僕の志に共鳴してくれた人たちが、僕と一緒に立ち上げから参画してくれました。そういう意味で、やっぱり、おすすめは自分のマイコミュニティを持つことが大切だと思います。そこをプラットフォームにしながら、仲間集めや事業内容の検討をしていくとよいのではないかと思いますね。
Q.呉さんが感じた問題意識の解決策として、CRファクトリーという手段を選んだ理由は何ですか?
A.「政治」ではなく、「社会」という切り口を選んだ理由は、政治家・行政組織としてアクションしていくよりも、個人・民間企業に対してアクションしていくことの方が可能性を感じたから。
それで、なぜ株式会社ではなくNPOという形態で活動しているかというと、会社ではなくNPOという形のほうが、様々な人の力、意見をより自由に集約して社会に対して発信することができるのではないか、と直感的に感じたからです。
Q.愛着を感じる場が少なくなっている理由・背景はどこにあると思いますか。
A.うーん。背景ですか。難しいですね。ただし、経済社会や資本主義社会も一つ要因だと思う。
ただ、僕は、原因や背景を分析する、ということよりは、僕のできる方法で、より良い社会を作っていくためにアクションしていく、その方により魅力を感じています。自分の経験や直感から、愛着を感じる場が少ないという問題意識があったし、今はそこに対してアプローチが出来ていて、そういう場が少しずつ増えていることを実感できている、それはとても幸せなことですね。
【ワークショップ】
① 志を保つためにしていること/してみたいことは何ですか?
志を保つためにしていること/してみたいことって何だろう・・・POST ITを使ってそれぞれに思いつくままに書き出して、それをブレインストーミングしながら分類してみました。
【A班】
A班では、行動の「対象」と「種類」のそれぞれに分けて、分類して考えてみました。
アクションの対象:「個人(内面に納まっているもの)」「仲間(個人の周りの人々
や物事に関係するもの)」「社会(より広いスケールの人々や物事に関係するもの)」
アクションの種類:「個人(自己の原点確認など)」「インプット(他人や物事から刺激を受ける)」「アウトプット(社会に対して発信する)」
こうした分類方法に基づいて、班のメンバーから出てきた意見を以下の表のようにまとめました。
【対象:個人】 【対象:インプット】 【対象:アウトプット】
【種類:個人】 自分の目標を確認 読書 自分に投資する
スポーツして熱い気持ちを取戻す
刺激的な出会い 目標達成できない場合は
勉強 自分に罰を科す
【種類:仲間】 仲間と一緒に刺激を受ける 上司に問題意識をぶつけ
仲間と問題意識を語らう
友達とボランティアに参加する
【種類:社会】 彼女を作る(?!) シンポジウム・講演会に参加
【B班】
B班では、「共有⇔個人」、「行動⇔考え(思考)」の2つを軸に分類し、
以下のようなIdeaが出てきました!
【行動】
↑
仕事を頑張る 社会見学する
色んな人と接する、話す 仲間と何か組織を運営する
自己分析する ロールモデルを作る 仲間と何かをやる
【個人】← 読書 勉強 ルームシェアする →【共有】
想像力を豊かにする、妄想する 自分の考えを人に話す
大局観を持つ 夢を常に持つ 夢を語る、聞く
↓
【考え(思考)】
② コンパスポイントが志を保つ場であるためには、どのような活動を行っていけばいいと思いますか?
ワークショップ1で、志を保つためにしていること/していきたいこと、と一口で言っても、様々な性質があることが分かりました。その中で、コンパスポイントはどの部分にアプローチしていきたいのか?どのような活動をしていくべきなのか、というテーマについて話し合いました。
【A班】
A班からは、以下のような意見が出ました!
○まずは、参加者同士がどのようなことをしていて、どのようなことを考えている人達なのか、をもっと詳しく知りたい。(スポーツ大会、BBQ、合宿などを通じて。)
○ その上で、参加者の間で、何らかのスタディーツアーや、プロジェクトのようなことをして、社会に対してアウトプットを出していきたい。
○ これらのプロセスと並行して、映画や本の輪読、スキル向上の勉強会、これまで行ってきた講師からの講演、などのインプットを得られる場を継続して得ていきたい。
アウトプットを出すための試みと、インプットの性質を多様化させるための試みと。その両方を同時に達成していくこと、コンパスポイントに求められているのはその二つなのかな、とA班のワークショップを見ていて感じました。
【B班】
○A班同様に、他の参加者が何を考え、何をしているのか(仕事、研究等)もっともっと知りたい!という声が多かった。
○コンパスポイント自体が何かプロジェクトをやるのもいいし、あるいは、同じ興味、志を持つ人たちが繋がり、そこから何かが生まれる為のプラットフォームとして役割も期待したい。
○同じ興味、方針を持つ人たちが集まる分科会を設立する
○図書館を設立する
○みんなで何か本を書く・・・
今回のコンパスポイントの内容を踏まえて、スタッフのみならず、
今後は参加者の皆さんも巻き込んで、今後の活動方針をみんなで話し合っていければと思ってます!
引続きよろしくです!
第4回は4月26日です!
乞うご期待!